雨にさらわれたあしたへ/あおば
ジンジャーエイルでいいです
知ったかぶりして注文したら
それはどんな味がするのかな
一杯回してくれないかね
と
亡くなったお祖父さんに冷やかされた
お祖父さんは
お酒が好きで
ちょっと出かけていっては
升を傾けて
さも美味しそうに喉を鳴らしてから
猫のようににっこり笑い
ゆっくりと丘を登って
夕日の入るのを見回して
それから
仲良しの家に寄って
なにか話をしてから
少しまじめな顔をして
帰ってくる
ジンジャーエールなんて
知らなかったはずだ
大河小説が好きで
目を悪くしたという母は
名前くらいは承知していたはずで
その証拠に
台所
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