貴女のこと/クローバー
 
北風は、吹かない
春一番で、うるさい夜に
貴女はやってきた

ここはすごく田舎だから、地元の人で
ここが田舎だってこと、わかっているのは、ボクしかいないんだけれど
それは置いておいて
とりあえず田舎だから、お客はもてなすもので、それにならって
ボクは、貴女をリビングへ通した
「外は寒かったでしょう」
「どうしてこんなところへきたのですか?」
「それでも、もうすぐ春ですね」
「この風が、消えたら、暖かくなりますよ」
「どうして、ボクのうちへ?」
質問には、答えずに貴女は、ふぅ、と息を吐き
「あなたは、男性なんですね?」
と、言って、目を伏せた。

ボクは、溶かした
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