変身/壺内モモ子
 
携帯電話の音で目が覚めた

体が重い
携帯電話を掴もうとしても
手の平からツルッと滑ってしまい床の上へ
落ちた携帯電話を拾おうと
重い体をなんとか動かし
ベッドから降りる

うんしょ、うんしょ

たまたま床に落ちていた手鏡
写った私の姿
ピンと伸びたヒゲ
垂れた目
つるつるの肌
私はアザラシになっていた

ああどうしよう、どうしよう
でもちょっとかわいいかも
私はアザラシ

誰からの着信かわからないけれど
携帯電話はなり続ける
私が人間に戻るまで
戻る   Point(7)