列車の話/アマル・シャタカ
かつて
Aという列車が人の心を走った
ゆるい時代のわたしには
えー
という列車しかない
ときおり蒸気の出方で
えー?
という日があり
えー!
という日もある
ただ
たいていは
えー・・・・
である
A列車のころは
多くの人に愛があった
Aは頭文字でもあった
えー列車には
音しかない
もはや誰も
あいとよべない
そんな
えー列車も
近頃は老朽化が進み
えぇぇぇぇ
と
くどい蒸気を吐き出すだけの
アンティークな
役立たずである
次の時代には
列車すら
走らない
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