ノート(43Y.4・26)/木立 悟
 




もう何年も入ったことのない
家のすぐ近くにある店が
一ヶ月前に閉店していたことを知った


ようやく雪もとけ 作業がはじまったらしく
母は一月に亡くなった父の墓を見てきた
来月中にはできるのだという


テレビのなかでは
一年前に起きたある事故の遺族が
涙を流していた


一昨日が
父と母の結婚記念日だったことを
母も自分も忘れていた


一度だけ顔を見合わせたが
悲しいふりをすることさえ
できなかった










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