賭博王/川嶋千歌
 
 ヘイハニー俺と賭をしようぜ
 例えばこの3枚のコインが無くなるまでに
 俺達の別れを覆せるかどうかを
 勿論俺は「可」に賭ける

 叫び声が弱くなると不安になって腕の力をゆるめるような
 そんな痛めつけ方じゃまだダメなんだ
 もっともっと深い消えない傷をつけてくれないか
 
 俺はイカレた賭博王
 鏡の中の自分の顔さえ
 ルーレットテーブルに見えてきやがるわけで

 ハニー 君の声は聴こえてるのに
 どうして俺にはこの暗闇の方が安らぎなんだろう
 どんな優しい愛撫よりも
 孤独と睦み合ってるだなんて

 武器を取り兵士たちが森へ消える
 俺は自分の命も賭けずして
 あの若者たちを非難する奴等をこよなく憎む
 今あの森が燃え上がったなら俺の賭けたコインも全て無くなるのだ
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