秒針が響く/
春日響
その手にぎゅっと抱かれた瞬間
小さなラットになって走り出したかった
全否定する愛に包まれたのだ
しかもそれに身を委ねる
目を瞑る
どうにかなるさと誰かが話す
どうにもならない
あたしが一番知っている
窓の外
途端に紅く熱された金柑
今すぐにでも摘み取ってしまいたいくらいだ
いやしかし
消え入るそれはただの夕陽だ
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