丘の上の君/かのこ
 
すこし眠り過ぎた
朝に
髪が嘘を吐き
窓辺の虫が鳴いて。

すこし眠り過ぎた
朝は
皮膚が剥げる
がんばれ、薬指。

潰れちゃうその前に

暑さを遮るように
通り雨が降ってきて
その香いまで
池の底に沈んだ。

痛みの伴う
この雨のなかを
歩く
地図なら
掌に刻まれた皺で。

潰れちゃうその前に
精一杯呼吸をして。

身をまかすなら
あの坂道
いっせいに立ち昇った綿毛
蓮根の葉の傘をさす。

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