矢印アンダーグラウンド/仲本いすら
 
暗いてっぺんの夜に
松屋のチキンカレーを
胃に流し込んで
地下鉄に乗る

まだ太陽も起きるのを
ためらって

周りの彼らも
くたびれた顔をしている

地下鉄の暗い壁の
流れる赤く長い線を
終点までじっと見つめ

これが途切れる頃には
君の未来は
違う方向へと
ベクトルを動かす

少なくとも
こっちの方角じゃなく

まだぐずっている太陽の
沈むべき方角に。

朝焼けを見る暇は
無かった。


戻る   Point(0)