きろ、つきはなし/あおば
 


よろしくお願い致します。

サチ子は微笑んだ
帰路は私に託すのだと
幼い子を後部座席に乗せる
自動車
バイク
オート三輪

どんな乗り物も嫌がったこの子が
痩せた働き蜂の背中には乗りたがる
そんな嫌みな言葉が浮かんできたが、
それはいつものこと
砂利道にハンドルを取られながら
よろよろと坂道を登ってゆく
帰路は下りというのが定説だが
この物語では登りとなるのだ。

フニクリフニクラとはいかないのだ。




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作2006/02/09






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