声に飢える/とびまる。
 
その人の携帯に何年かぶりにメールが届いたらしい。
何年かの間に何が起きたのかは、僕には分からない。
でも会ってくれと言われたから私は会ってくる。

それを僕に唐突に教えてくれた。
その人が僕の携帯にメールをしてくるのは何ヶ月かぶりだった。

急に会ってくれだなんてどうしたんだろうと聞いてみた。
たぶん結婚したんだろう、その報告なんだと思う。
その人はそう教えてくれた。

何年も連絡がないのに。
そんなこと何も気にしなくても会いに行ける関係なんだね。
僕はそう思いながらそのままメールを返してしまった。
だって私はあの人の声に飢えているんだもん。
話の内容なんてどうでもいい。
あの人の声が聞けるのだから私はそのためだけに行ってくる。

それからもう何ヶ月も過ぎている。
この何ヶ月の間に何が起きたのかは、やっぱり僕には分からない。

僕はその人の言葉に飢えている。
だから何ヶ月の間もこうしてその人のことを待ってしまうんだ。

だけどそれはまだ伝えていない。
僕も飢えているんだと言いそびれたままになっている。
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