ノート(冬と道)/木立 悟
 




足の下にかたまりが生まれ
小さくまるく増えてゆく
歩むたびに揺れるからだ
少しも速くならないからだ


地から離れ
地に繋がり
朝は歩みを呑んでゆく
光を並べては片づける


背中に枯れ葉の鳥が生え
道端の犬の置き物に脅え
置き物は壊れた信号機を見つめ
いつまでも碧いままの瞳をして


捨てられた定規が川を流れ
海までの距離を測っている
たどりつけずに沈む目盛は
冬の陽の高度を知っている


まばたきの間の鏡に映る
海によく似た空の道たち
巨きすぎて見えない輪へと
青いからだを打ち寄せる








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