白い実験室/健
あらかじめ
決められた色に
染める
透明と透明が重なって
疑って
濁ってゆく
気が付けばここに辿りつき
誰もが
青い炎に焦がれた
見せ掛けだけ
大きさだけを
燃やしても
長くは続かない
ここには
酸素が足りない
無機質な時間
それすらも必要 か
全ては新しい色を生み出すために
試すことはあまりにも多く
今までしたことは全て
確認作業に過ぎなかった
あらかじめ
用意されたもの
では
いくら混ぜても
黒に近づいていく一方で
誰もが
新しい発想を と
夢見心地で呟く
そのうちに
懸命な多数は
定められた枠の中で
正しく確かめる作業に生きがいを見つけ
残った少数が
ここにはないもの
を探しに
この場所を出ようと旅立ったけれど
白い部屋はあまりにも広く出口は見えなかった
名前の無い実験室で 僕らは立ち尽くしていた
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