花にこめて/
七尾きよし
花びらに触れることなく
ただやさしく
その香りを
いとおしく思う男がいて
花が永遠にその美しさを
伝えるために
ミツバチは羽根をふるわせ
いとおしく蜜を吸う
さみしがり屋の
待ちぼうけ坊やは
来る来ないくるこないと
花びらを地面に散らせ
人生で一番美しくなるはずの日の朝に
ちょきんと首斬られ
さびしげな生首を侘びさびと
花を「愛する人」が言う
冬の日の木漏れ日
枯れ枝のすき間は大きくて
まぶしそうに一輪の花
白雪の間に見つけた
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