眠れない夜・1/和泉 誠
 
すべてが虚しい
その原因は僕が何一つ手に取ろうとしないから
何か一つ手に取ればそれが大事になって守ろうとするはず

なんだっていい
何か大事なものをこの手で守りたいとさえ思えれば
この虚しさは消えることだろう

じゃあ一体何を守る?

昔は守ってあげると言うと決まって放っておいてって断られた
そのせいで僕の性格は少し臆病になった
今は守ってあげる相手をこっちから選ぶことができるみたいだ
だから逆に誰を守ればいいか分からない

寂しさを感じないんだ
ぬくもりを求めていないんだ
時々憧れてはみるけれど

地に足のついてない生き方してる
確かなもの何一つ持たずに
[次のページ]
戻る   Point(1)