愛を、つぶやく/七尾きよし
ひとりぼっちの
誰もいない家
ぼくは
押入れにギッシリとつまった
ふとんと 布団の間に隠れ
ゆっくりと戸を閉めた。
光はだんだんと
ちっちゃくなってって
バンって音とともに
ぼくは暗闇の中にいた。
ひとりぼっちで
誰も知らない
世界の片隅で
ぼくは隠れてた。
ちいさな体をぎゅっとチヂメテ
誰かぼくを見つけて!
ぼくはここにいるよ
ぼくはここにいるよ!
ってこころの中でさけんでた。
両の腕を
鳳凰のように広げて
彼は言った。
愛してるよ。
わたしの存在の
もっともこみあった部分に
生温かい汁がすうっとしみこんできて
ゆっ
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