抜けない棘/和泉 誠
 
突き刺さった無数の棘は
次の日の夕暮れになっても
ジンジンと鈍い熱と痛みを

人に刃を突き立てた後悔
人から刃を突き立てられた屈辱

そんなの昨日のうちにさっさと
キレイさっぱり忘れてしまえばいいのに

貧弱すぎる自分の心に
思わず漏れる溜め息

一体こんな自分が
社会なんて非情なレースを生きる抜けるのか?
ましてそこで誰か大切な人を守るだなんて

お父さんだなんて
そんな大層なものには一生なれそうにない
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