凍るキミ/AKiHiCo
キミは誰かの温もりが欲しかった
ただそれだけなのに
上手く喋れなくて寡黙な少女だった
凛とした瞳に宿る意思は確かに
そこに存在していた
だけど誰も触れる事の出来なかった
見えないキミの荊の蔦が張り巡らされていて
可哀想、キミは可哀想
不安定な地面で立っているのは辛かったでしょう
心は在るのに伝える術がなくて
何も判らなくて戸惑う瞳の奥に秘めたもの
私には判らない
キミ自身ではないのから
どうしたら上手く伝えられたでしょう
凍るキミを見つめて思うけれど
答えは閉ざされたまま出てこない
そこにずっと居たのにどうして
私はキミを抱きしめてやらなかったのだろう
閉じた瞼は蒼褪めて
そこで踊る環は美しく
永遠を刻む詩を読み上げて願いましょう
再び開く事があるのならば
その内側に閉じ込めていた心を
誰かに解いてもらえる事を
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