幻想/汰介
 


私はさすらい人

吹き荒ぶ冷たさの為に
突き刺さる北風の中を

冷たい鋼の様に凍えきった
土や砂利を踏みしめ歩く

余りの冷たさの為に雪も逃げ
歩みを進め
踏みしめる度に
大地はじりじりと歯噛みをし

それは聞き分けの無い
頑固な老人のようになってしまった
私の心の様だ

あの暗雲の向こうには太陽が
そして夜には月が輝きを放っているだろうに

私よ
それを忘れてしまったのはいつの事だろう?





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