ねこみみをつけたがるおんな/あおば
 



山月記の中島敦は32歳のときに南洋の信託統治領へ教科書編修の旅に出た

トラック島とパラオ島間は
4発の水上飛行機
朝潮に乗り
2000m上空から
輝く海の
小さい島を眺め
のんびりとした島民は
眼下の島民は
信託統治の圧制に
心と糧を奪われて
いじめ抜かれて
歩かされている
だから教科書より先に
編集しなければならないものが
ありすぎると思っていた

その頃は
太平洋戦争の緒戦の勝利に
国中躍り上がって喜んで
有頂天
酔っていた

総力戦の

製鉄の
蹈鞴を踏み続け
こんなはずではなかったと
金物無くして
仕方がないから

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