恋時雨(こいしぐれ)/
こしごえ
つぶやいた名が深く響く
空は鈍色(にびいろ)をして時を孕む
いらっしゃい必然的本体
欲する無欲が降ってくる
浴びる黒髪
月光のもとの
涙する獣道で
懐かしく鋭い爪が轟く
記憶の谺(こだま)が風を呼び
濡れた黒髪燃えて咲く
ぢりちりと胸焦がし
幾千幾億の落下に立ちすくむ
過去の影の分裂していく
青さに闇は震えて恋時雨
さぞかし響くことでしょう
移ろう時の雨あがり
雲間の虹に
微笑み一つ
戻る
編
削
Point
(7)