【 それなりの優しさ 】/豊嶋祐匠
 









お前は

俺に構わず、先に逃げろ









俺は、そう言って

住み慣れた団地の屋上から

仲の良かった

飼い猫を、投げ捨てた









彼は、この世の

苦しみを知らずに

アスファルトの海に、飛び込んで行けたんだ。

















< その優しさは、きっと別ものです >
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