晩夏に/蒼木りん
日もルーズになりはじめた晩夏
名もわからぬ鳥が鳴く
湿った畳の目だけを
見つめかぞえ
また眼をつむる
夢見が悪かった
人に会いたくない
話もしたくない
すべてに
誰のためにもならない己
誰の為にもなる気のない己
思い知るのは
もうたくさんだ
黴臭い布団のおくの
微かな日の匂いを
求める本能
達成しない
燃焼しない
裏返せばよいだけのこと
そのような
見え透いた愚かさ
末梢神経が病んで
思い通りに
伝わらない
ひとり道には
こそばゆい
ごっこ遊びに手を振って
それがどうして
村八分
私には
あなたにあげる物がないから
少し心を削ります
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