ノート(28Y・8.31)/木立 悟
 





    灰色のブリキとトタンでできたふたつの長屋にはさまれた一本道

    ところどころつぶれた家から見える海には朽ちた船が散らばり

    生きたかったのに生きられなかった生きもののような焔に焼かれている

    木の音も砂の音も波の音もせず

    ただ空気が冷えてはあたたまる暴力的な音だけが聞こえてくる



    


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