樹海で待ち合わせする青白い恋人/あおば
再会の地に佇んで草臥れた
10年間待ったけどまだ来ない
樹海では磁石が効かないから
GPSが必需品といったのに
頑固なデジタル嫌いなお人なの
あの人は古臭い
ゼンマイ時計が好きなのです
100年後
街が森を浸食して裸になったとき
防水の時計は拾われて
古道具屋を喜ばした
白骨は珍しくもないので
蹴っ飛ばされて
踏み潰されて
粉々になった
生分解性プラスチック性の
人造人間の白骨死体なんて
誰も怖がらないけど
天然人間が人を怖がるのはなぜだろうと考える
殺されるから/食べられるから/自由を束縛されるから
なんだか知らないけど
おなじ有機物同志なの
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