旅/石川和広
僕は恋の中で
生き直す
日々は
単なる
日々に近く
遠い
ひびわれた
地表から
静かに
氷であった水が
ゆっくりと
溶けて流れる
川
川
べり
皮に滑りおつ
ように
かなしみに
含まれる
何か鈍いろ
の時間の中で
君は
明日少し旅に出てくるの
と
支度をしている
僕は
ひとりになるね
なんて
小さな山の旅
互いに木の時間に
入る
僕は小さな画面から
われてしまった
硝子コップを
見るだろう
いじけたり
すねたり
ねむくなったり
引き伸ばされて
留まったり
僕は少し小さくなる
いつか
ほんとうの時間を
いきる
域
息
深い息がつけない
もっと
脳裏静かに
明日
いってらっしゃい
を云うだろう
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