ノート(25Y・11.7)/木立 悟
 




    私の瞳は濁った緑
    私の指は三本しかなく
    私の髪は闇の捨て子だ
    私へ向かうすべての心は
    空の貝のようにねじくれている
    本当の心はいつの世もあるが
    私の濁った目には映らず
    私はいつしか迷路の住人
    ほどなく飢え死にするさだめ
    私のすべての液がたどるべき
    あなたへの道はいつしかふさがれ
    私はどこからか来た種を喰む
    水のないまばゆい原となる
    想いの星座をかたどる飾り
    私と同次の鉛のくちべに
    私のなかに溶けてしまった
    無数の兄 姉 妹とともに
    ふたたびの ふたたびの
    白しか描かぬ邪の秋と
    ヒメジョオンの篝うつぶせ
    私は弾けない楽器を鳴らす





[グループ]
戻る   Point(3)