無題/Kj
 
ファミレスの横でキスをした
村上春樹の小説みたいに 素敵なキスはできなかった

緑の壁の家 薄暗いロフトのベッド
チェックのワンピース 使いかけのコンドーム

初めて買ったおそろいのマグカップ
僕が割った

初めて抱きあったあの部屋も
もう失った

優しい目をしたロバが 僕を撫でてくれた
一緒に眠った

幸せだった日々も 雨降りだった日々も
どんな日々も過ぎていって

僕はたった一人になった

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