なんて、なんで。なんで、なんて。/Fujiwara Aki
 
 数々の本当が降りそそぎ 立ち尽くす毎日
 なんて、なんで。なんで、なんて。
 「こんなはずじゃ、なかった。」と、他人のカートを横目で見る。
 なんて、なんで。なんで、なんて。
 鮮やか過ぎる現実を覆い隠そうと苦笑した。
 開き直ったレジの前 そいつは、やがて形を変えて屈服をまた一つ教えてくれる。
 閉店二十分前のスーパーは、それでも密かよりどころ。
 高価な宝石より半額シールに瞳を輝かす私。
 なんて、なんで。なんで、なんて。
 なんて、なんで。なんで、なんて。


 信じていたはずの夢の城が 立ち塞がる毎日
 なんて、なんで。なんで、なんて。
 「誰が住んでる家なの?」と、シンクに積まれた皿洗う。
 なんて、なんで。なんで、なんて。
 期待が招く結末に異論など唱えてなんになる。
 封じ込めてみた二十一時 そいつは、溜息混じりに泡を吹き余力を全て奪い取る。
 パートで疲れて帰ってみても優しさなんて見当たらない。
 今宵も魔法使いに出逢えない老けたシンデレラの私。
 なんて、なんで。なんで、なんて。
 なんて、なんで。なんで、なんて。

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