蝶と背中/つぐこ
あたしの背中を
汚して飛び去った
アゲハ蝶
全て濡らして
アゲハ蝶と
あたしの顔を見て笑う
あなた
あたしの胸に
未だに止まっているアゲハ蝶
夏の日差しがあたしを照りつける
ほら、分身。
影を落とした世界を
一通り見て笑う
あたし
くだらないと、笑ったあなた
あなたは、あたしより
アゲハ蝶が好きで
一生消えないあたしのアゲハ蝶に
惚れた
呪縛の様に取れない過去は
全てアゲハ蝶の刺青にしまっておいた
一生消えないように、忘れないように
痛みを伴って、しまっておいた
そんなアゲハに惚れるなんて
皮肉ってしか言いようがない
あなたはあたしの全てを汚して
全てを濡らしてくれればいいの
耳元で甘い言葉をささやいてくれればいいの
アゲハ蝶の刺青じゃなくて
お誕生日プレゼントじゃなくて
あなたの全てが、あたしのものになってくれればいいって
思うの
夏の匂いがあたしをつつむ
背中が汚れて
そして、全て汚れる
あなたによって、全て。
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