いつか暑すぎた日の夏秋夏/あおば
 


文科省認定漢字検定準2級問題集
この一行でも明白なことではあるが
アラビア風の衣裳を着ている余所者
漢字ではないものが一人潜んでいる
それが我が国の文化的な特徴と誤解

   茆茨不剪、土階三等
ぼうしきらずどかいさんとうのみ
漢文を意味を誤解した五里霧中さん
帰化人の末裔を自称する癖のある日本人大学生
繊細な夏秋夏さんを誘ってコミックバーに行く
コミックバーではボーイさんがドアを閉める
開けるのは面倒くさいからお客さんが来ないように閉める
お客さんはどうしても入りたいから力一杯ドアを開ける
ドアを開けるたびに敏感な夏秋夏さんの髪の毛が逆立つ
窓際には独り逆立つ髪をぼんやり眺めている男がいる
「最上川逆白波のたつまでにふぶくゆふべとなりにかるかも」の茂吉の歌をそっと声に出す
そんな寒い朝はいつのことだったかと望郷の念に駆られているところ、ケータイメールがポチンと早暁の静寂を乱すので、ビールの泡を逆白波と見立てて一首詠む

神田川ビールの如く逆立てよカシュウナッツは夏の理








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