いいの/オオカミ
遠くのサイレンがきこえる
しゃららら
舐めるみたいにきずぐち焼いて
いとしいねこのけなみ
なでなで
こめかみにこつんと
空気のあたる音がしました
わたしには
ことばもあったし
からだもあったし
さいのうもあった
いきてゆくことのできる
満たされた感傷とか
そんなふうに
そんなふうだから
痩せこけた道ばたは
ゆっくりと
だれも傷つけない速度で
アスファルトになる
もうきっと会わないだろうひとたちが
のらねこのしっぽにぐるぐるまかれて
とおざかる
笑顔で
くびわをはずしました
鳴らしすぎた骨のゆびで
行間のようなあいまいを
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