いいの/オオカミ
 


遠くのサイレンがきこえる

しゃららら
舐めるみたいにきずぐち焼いて
いとしいねこのけなみ
なでなで


こめかみにこつんと
空気のあたる音がしました
わたしには
ことばもあったし
からだもあったし
さいのうもあった
いきてゆくことのできる
満たされた感傷とか
そんなふうに

そんなふうだから



痩せこけた道ばたは
ゆっくりと
だれも傷つけない速度で
アスファルトになる

もうきっと会わないだろうひとたちが
のらねこのしっぽにぐるぐるまかれて
とおざかる

笑顔で







くびわをはずしました


鳴らしすぎた骨のゆびで
行間のようなあいまいを




すすむ


戻る   Point(4)