麦わら赤毛と虫眼鏡/あおば
 

赤毛のアンが
最上段を占拠する
姉の本棚

なんか短歌じみた書き出しだねと
老母が笑う

子供の頃
映画女優のようにその名を
アンの名を親しげに聞かされていたから
実在の人物のように感じていた

思い切って一冊
手に取ってみれば
アンの正体が分かる
そう思っても
女子トイレをのぞき見るような
罪悪感が漂って
とうとう手に取ることはなかった

麦わら帽子を被ったアンは
新聞を読みながら
虫眼鏡を手に取って
シニカルな笑みを漏らす
見てはいけないものを
とうとう見たなと言うように
上目遣いでこちらを見るのは
座敷童のようにおとなしい
気配だけの母ではなくて
母も縋った常緑樹
モンゴメリーの赤毛のアンです





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タイトルは、奇天烈デモクラシーより
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