罪と罰/大覚アキラ
空はどこまでも鈍い雲に覆われていて
海まで続く暗く長い道を
目隠しされた罪人どもが牽かれてゆく
贖うことなど決して叶わない
あまりにも重い罪を懐に抱いて
だが その足取りは重くはない
むしろ軽やかにさえ見える
+
いつか観た そんな映画のワンシーンが
あなたと躯を結ぶたびに
瞼の裏にフラッシュバックする
映画館の暗闇の中で
あなたの隣に座ってスクリーンを凝視しながら
わたしの頭蓋の暗闇の中は
ベッドの上で悶えるあなたの姿で溢れていて
映画のストーリーなど これっぽっちも記憶にない
+
あの日 安っぽいホテルの一室
[次のページ]
戻る 編 削 Point(3)