Bell/蒼木りん
 
すべて開ききらずに
萎れはじめた花を
首から折って
花びらをちぎる

桃色のしあわせを
ぼたん雪のように
あの高みから撒こう

嗚呼
今度こそ
駄目かもしれない

そんな苦しさに
心音が乱れる
この戦いは孤独である

Bellとは
窓辺に吊された風鈴
私の名前

朽ちてゆく前に
花びらは
風に乗って空に舞えたのである

ほんとうの悦びを
与えきれなかった
いちばん大切なものを諦めていた

風に吹かれるまま
為すがまま
生きているうちが花

吊り紐が
切れたら
お終い

それでも
季節は廻ると
知りつつ

戻る   Point(1)