ノート(ひとり)/木立 悟
 
誰にでも 好きです
好きです と言って
みなを集めてまわる詩人を見て
自分は死ぬまでひとりでいいや
と思った


誰からも 好きです
好きです と言われ
みなに囲まれている詩人を見て
自分は死んでもひとりでいいや
と思った


誰からも 好きです
好きです と言われず
みなに相手にされない詩人を見て
自分は死んでも生きてもひとりだ
と思った


誰よりも 好きです
好きです と言って
道のまんなかで微笑むひとを見て
自分は死んでもそちらへ行けない
と思った



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