匙の味/
蒼木りん
窓の外の風景には
たった一つ不満がある
それが
微妙に精神に作用していることを
気づかないふりしている
瓶入りの蜂蜜は
少し濁り始めていた
匙を入れて掬い出すと
想像以上に金よりも尊い
舌に絡みつくその先は
匙の味だけをいつまでもしゃぶる
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