所感/蒼木りん
救急車が通り過ぎていったのは
まだ明るい午後5時ごろだった
とりわけ
緊急性を感じた走り方だった
いつものことだが
身内があれに乗っているはずはないと感じつつも
もしもを考えてしまう
そこを通り過ぎたのは
午後5時40分ごろだった
警察官が道路の真ん中で写真を撮っていた
脇を見ると
無残につぶれた車が置かれていた
さっきの救急車はあの車の主を運んだのだろう
白地に赤の
沈黙...
見てしまった子どもの目の瞳孔が大きくなってゆく
今日も人の列に車が突っ込んだ
2人死んだと
ニュースが伝える
そういえば
夕日は血色の海に沈むようだった
慌しい
だから
忘れる
拘らないですむ
コンピューターは進化しても
事故はなくならない
張りぼての後ろは
まだ発展途上の時代である
Dえもんのような22世紀は
来なさそうだ
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