ぼんやり/蒼木りん
 
まるい果実を

鉛筆で描きたい

スケッチブックの白に

いくつもの線が集成して

球体が浮ぶ


昨日の夜は

濃い霧に街が包まれた

密やかな空気

街燈がぼんやりしていた


古き良き時代

いにしえの歌のごとく

こんな夜に

逢引きはするものだ



自分の裸体を

素描してみたい

曲線を

いくつも引く


いけない

理想と希望が

光を歪ませて

真実を描けないだろう


毎日

鏡に映す顔が

真実でないように

この逢引きが

真実でないように





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