雛祭りチョコレエトケエキ/蒼木りん
身体のいらぬ自慰
昨日まで
疲れ果て
施錠された膝頭
期限は不明
今夜は
雪が降るらしい
三月
今日は
三日である
あれ以来
自分の
裸身を見るのは
バスルームの鏡だけ
『なにか、可笑しいですか。』
私の前髪は切られずに
左右に別けられ
短い睫毛のかわりに
空厳しいものを観ずに済むように
『こころですよ。』
軟弱な主には
酒を飲ませて眠らせ
羞恥の番人は叩き殺してしまう
臆病と守護と共に
垢にまみれた身体を
汗と糊で更に汚す
汚されるなら
彼方だけ
陵辱の手を逃れ逃れ
抱いてもらいたいのは
嘘でも
唯の彼方だけ
刹那に狂いたい
誰でも無い
私の身体であるから
今宵の慰安に
映された曲線
なぞる視線
幻の彼方は
チョコレエト色
嘗めて
雛祭りchocolate-cake
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