遺された春/渡邉建志
 
 
カーテンの向こうの 
ついぞ見えたことのない 
とおくを見るまなざしの
(がたーん)
ひとりの
(がたーん) 
月影 
この、流れていくみどりのうえの 
ぶれていく指の 
疾走していく情熱 
(の爆発 
がたーんがたーんがたーんがたーん
あなたの 
鐘の音がうかび 
わたしの峡谷に沈んだ 
曇りの空の
溜息の喘ぎの
舞上るさきの
がたーん
カーテンの向こうの 
ついぞ見えたことのない 
とおくを見るまなざしの
(   )優しいきみの、だとか
カーテンをあげる
降り注ぐ、白い
揚がる、たましいたちの
みどり(の爆発
散っていくさくらの
はらり 
  はな びら たちの
しずんだ、
     しずんだ、
          しずんだ、
しずんだ。 
 
 
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