一日寝ていた/天野茂典
 
  

  午後の遅いご飯を食べた
  (手作りの握り飯2個だ
  向こうのほうでカラスがないている
  麦茶を飲んだ
  物音ひとつしない家の中
  公園にでも遊び行ったのだろうか
 

  もうすぐ陽が翳りだすだろう
  今日も一日寝ていた
  本も読めなかった
  詩も書けなかった
  詩が生まれるとき*
  そのメカニズムは興味がある

  のんびりとプロペラ機が飛んでゆく
  詩.に書かれることもいらないで
  パイロットは詩が生まれるときの
  メカニズムも知らずに操縦しているだろう
  いや彼は詩を実践しているのかもしれない
  空の上を飛ぶなんて凡人には
  できないことなのだから
 
  もうすぐ陽が翳りだすだろう
  熱は下がったが調子が出ない
  やる気が起こらない
  風邪は怖い
  早く体力をつけて日常に戻りたい
  そこからまたぼくの詩がはじまる


              
       *川崎洋の詩の入門書
       2004・12・18
戻る   Point(1)