されづ/蒼木りん
 
生きた恋の詩を書けなくなった貴方は

いまは

何を温めている


嘗て

こころの底から絞り出た声は

擦れながら響いて

響いて

私の胸までも届いた


呟くように

弱く

しづかに

語り合ったこともあったではないですか


ほんとうの貴方は

そこにはいなかったのですか

そこにも

いたはづでしょう

死んだ恋を想いながら


死んでしまった恋だから

あの詩は

貴方の作品にしてしまったのでしょうか


夜露

月光浴びて泣いた痕

捩れた老木

伸ばす手に蕾つけることも為らず

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