手紙/月
昔ここに種を植えた
何の種か分からなかったから何が生えてくるのか楽しみで毎日水をあげた
でもいつのまにか
忘れてた
こんにちはお元気ですか覚えてますか
あの膝下までしかなかった小さな木が小屋の屋根を越えました
○月×日いつもの時間にあの下で待っています
差出人の名前は書かなかった
覚えてますか
二人で遊んだ秘密基地 なんでだったのかなぁ
いつのまにか遊ばなくなったね
覚えてますか
二人で決めた待ち合わせた時間 私はいつも遅刻して… いつもあなたは先に来てたね
覚えててくれたかな
ゆっくりと
角を曲がり空き地を見た
…背高くなったね
小さかった彼
小さかった私
大きくなった彼
大きくなった私
変わらない
何も変わらなかった
あなたはあなた
私は私だから…
携帯の時計をチラリ
木の下に居座ってる不機嫌な背中に向かって
久しぶりに全力疾走した
戻る 編 削 Point(1)