鼈/蒼木りん
 
あなたとは多分
お互いに同じように身体が反応して
こころは少し後から大義名分をつけていた

性的関係が目的ではじまりだったけれど
生産してゆく年月と日々のいまとなって
それは消費されるものの付属
むしろ
それを不要にしてもいい私は

すまないけれど
あなたの新陳代謝に協力できない
たとえ話で教えてもらえば解かる
最初から回路が違うのでしょう
同化する幻想は甘えですよ

恋というのは
月光でなければならない
愛というのは
鼈を見て笑うこと

いまの私にとってみれば

生産を繰り返す使命のレールに
恨み言を飲み込んで白抜きが浮ぶ
個人に世の中は易しくな
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