早く迎えに来てほしかった/蒼木りん
四日間
昼も夜も流されていった
誰の目にも触れずに
ぼくの姿は水の中
ビニールでもなければ
人形でもない
痛くても生きていたかった
怖くても待っていた
どこにも行くところがなかった
早く迎えに来てほしかった
眠って目が覚めたら
テレビの中だったらよかったのに
どんなに隠れても見つかって
力を入れて我慢するしかなくて
お父さんは黙っている
お母さん早く来て連れて行って
おかあさん
あんなに叫んだのに
それでも生きたいって叫んだのに
もう死んじゃうんだって
川の流れがどこまでも連れて行く
ぬるい水の中で
太陽が熱かったよ
夜は
弟を呼んだよ
見たことない大人の人に見つかって
ボロボロのぼくは連れて行かれた
おとうさん
四日間
昼も夜も流されていった
誰の目にも触れずに
ぼくの姿は水の中
ビニールでもなければ
人形でもない
痛くても生きていたかった
怖くても待っていた
弟と二人で
早く迎えに来てほしかった
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