ノート(いつか)/木立 悟
昨日が昨日ではなくなって
明日が明日ではなくなって
今日のなかに溶け込んでゆく
いつかまた会えたら
看護婦がひとり
エレベーターのなかで
白い布の下にむかってささやく
いつかまた会えたら
取りこむのを忘れて
雨に濡れたままの洗濯物
屋上に流れるくらげの空
いつかまた会えたら
木々の光にふと気づく
何も持たない手のひらに
そのとき震えはすぐそばにいる
いつかまた会えたら
空に落ちてゆく小さな破片
水紋は遠く
どこまでも離れて
いつかまた会えたら
母親に抱かれ 微笑む赤子
出会いの言葉も
別れの言葉も知らない
いつかまた会えたら
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