ノート(極小音)/木立 悟
 


とても静かだった
自分の前後に自分がいて
とても静かだった
口笛で消えた



手のひらは離れた
離れながら鳴った
いろいろ混じる無色の
音未満だった



声は平たい流れだった
並ぶほうにも
集まるほうにもいなかった
仲良しではなかった



塗るつもりはなかった
塗ろうともせず塗った
小さく小さく空へ向かう
色は独りの流れだった






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