林檎を食べる/蒼木りん
 
雨降りの夜だし

風景は
同じかたちのまま 年取っていくし

私は 
早く生理が終わらないかと 日にちを数える

身体中 微熱で覆われて熱いから 
粘膜の中の飴は すぐに溶ける

情のいらない
魚の鱗になる日

可愛いものに 興味がない
体温のないものなら なおさら

近寄って来るのは
きれいな男だけでいい マジで

触れたくなるのは 無心な背中
興味があるのは 無欲の奥の事実

それ
確定ではないけれど

檸檬ばかり食べていたら
身体中から 檸檬の香りがするように ならないかしら

私の身体は 
生臭い

石鹸泡立てて 解くアブラ 
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