ノート(日曜日)/木立 悟
 


誰もいない日
誰もいない目
側溝の枝を鳴らし
むこうがわから来た風が
むこうがわへと帰ってゆく



日曜は泳ぎ
日曜は泳ぎ
閉じた店の前を泳ぎ



色あせた通り
公園へとつづく
動かない兆し
不幸の裏返し



野に消える道
煙の路
塵と埃の街
過ぎてゆく熱



声は曲がり角の陰にいたのに
いつのまにか遠くを駆けている
道のむこうのもうひとつの道
煙突の後ろににじむ午後
誰もいない瞳
誰もいない日曜日
誰もいない通りを泳いでゆく





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